不登校の小・中・高校生が、保護者に言われて嬉しく思えた言葉がけ。4選。

不登校の小・中・高校生が、保護者に言われて嬉しく思えた言葉がけ。4選。

 平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果について、文部科学省が公表しました。

 小学校での不登校の人数は35,032人。0.54%。中学校では108,999人。3.25%。高校生では49,643人。1.51%です。

 5年連続して増えています。そして小学校、中学校ともに前年より約5,000人増えています。

 かなり多いと思いませんか?私は驚きました。

 原因ははっきりした要因がある子もいれば、複合的要因が絡み合っているとも言われております。こんなにも今苦しんでいる子供達がいるのですね。

 不登校の子供たちは、学校に行けない自分のことを責めたり、ダメな人間だと思うようになる子供が多いようです。

 さて、そんな風に自己肯定感が下がった状態のわが子。

 一体その子に対して、どんな言葉がけをするのが良いのでしょうか?悩んだり迷ったことは、ありませんか?

 不登校になったら、特に当初は「学校に行かないの?」「明日は行くんでしょ?」「学校に行きなさい。」なんてつい、言ってしまいがちです。

 そう言われると、子供はどんどん辛くなってしまうんですよね。

なぜなら、そんな事を一番わかっているのは、自分自身だからです。

 私自身が、こんな言葉がけはよかったかなと思ったものや、言ったあとで子供の表情が和らいだ事を感じた時、子供から珍しく喋りだした時の言葉がけをご紹介したいと思います。

 それは、何気ない言葉がけなんです。本当にごく、普通の言葉がけなのです。

  1. 単に世間話をする(学校については一切触れない。)テレビの話や天気の話、ゲームなど興味を持っている楽しい事など。また、「顔色いいねー。」など。
  2. 「朝起きることができて、偉いねー。」「(食欲が落ちているけど)食事が少しでも食べられたね。よかった。」と、さりげなくできた事を言葉に出して褒める。
  3. お手伝いをお願いする。家の中だけで完結するもの。洗い物や洗濯をたたんだり、お風呂掃除やごみを集めたりなど。ただし、ごみ捨てをしに外のごみ箱へ行かせたり、近所に買い物を頼むのはNG。本人が行きたいといった場合はOK。「助かったわー。」という言葉を添えましょう。
  4. 「ありがとう」と、言葉に出して伝える。

 褒めることは、大げさにしすぎない方がよいです。わざとらしいのは子供に伝わりますし、ちょっとした事に対して、ありがとうと感謝の気持ちを言葉にして伝えるようにしましょう。

 また、お手伝いをしてくれたら「助かるわ~。」と役に立っている事を、言葉や態度で実感させましょう。

 学校に行けないダメな自分は、さらに親に迷惑をかけていると思っています。家に居場所がなくなれば、どんどん落ちていってしまいます。

 家の中で、役に立っているんだ、僕は私はここにいていいんだ!と思えるような環境を作っていく事は、この時期かなり大事な事です。

 よく、「居心地が良すぎるから余計に学校に行かなくなる」と考える保護者の方がいます。私はそうは思いません。

 居心地がよい=安心できる居場所。なのですから。居心地が悪くなったからといって、学校にじゃあ行こうという理由にはなりません。どんどん居場所がなくなることにつながります。

存在を認めてくれているんだと、実感させましょう。

 子供は自分を責めて、それが壁をたたいたりなどの問題行動に現れる場合もあります。それでも、食事を作ってくれて洋服を洗濯してくれて、「お風呂に入ったら?気持ちいいよー。」など気にかけてくれている親がいる事が、存在を認めてくれているんだと実感する事でしょう。

 これが、逆に“どうせ声をかけたって、今食べたくないとか、うるせーとか言って部屋から出てこないから、声をかけるのはやめよう。”なんて思うのは、よくありません。

 子供の心の状態を見て、数分から数時間は声をかけるのはやめておこうと思うのはありだと思います。

 しかし、それを長時間・長期間続けていると、存在がなかったものとして扱われていると実感していきます。これは、絶対に避けなければなりません。

 空気のように接しては、いけないんです!かなり傷つきます。

 声をかけるのが、ちょっと今は難しいな・・・そんな風に感じた時には部屋のドアの前にメモを置いておくのも、一つの手段。

「ごはん作っておいてあるよー。」「お風呂を沸かしたからね。」などなんでもよいのです。トイレくらいは部屋から出てくるでしょうから、メモを読むことでしょう。

 万が一メモを破られてしまっても、怒ってはいけません。様子を見ながらどうにかコミュニケーションを取ろうと歩み寄らなければなりません。頑張り時ですね。

 自己肯定感が下がってしまったこの時期、認められたんだとか役に立っているという実感が、とても大事なことです。

 そういう事の積み重ねが、時間はかかりますがやがて自己肯定感を上げていくことにつながると、私は信じています。

不登校の子をおいて仕事に行くのも心配、一緒にずっと家にいるのも大変です。

 保護者の方は、どうして私の子が不登校に?と思って最初は受け入れられない方もいると思います。

 私はフルで働いていた時も、仕事をやめて専業主婦になった時も両方を経験しています。こんな私だから、どちらも本当に心配事が絶えないことがよくわかるんです。

 出勤前に、朝声をかけたけど布団から出てこないし返事もしない我が子。仕事を休めないから、取り合えず仕事に行きました。仕事中は電話することもメールを見ることもできません。子供が学校に行ったのか?家にいるのかどうかも把握できない、そんな状況で仕事をします。心の中は、もう泣きそうです。4時間後の休憩時間が、どんなに待ち遠しかったことか。それまで心配しながら仕事をするしかなかったのです。

 それなのに、休憩時間に電話してもメールしても連絡が取れません。連絡がとれないまま、仕事開始時間になってしまいます。ひんしゅくをかいながら、早退したこともありました。

 ただ、それも毎回はできません。

 家に誰もいない時に、一体この子は何をしているんだろう?ちゃんと食べているかしら?不安ですよね。

 専業主婦の方や在宅ワークをしている方は、四六時中一緒に家の中で過ごすので、それも大変です。子供のイライラ、自分のイライラって家の中ではお互い伝わってしまうんですよね。親子なら、なおさらです。

 子供がイライラがひどい時に、家を出て買い物にでも行ったほうが良いのか、逆にそういう時こそ家にいてあげたほうが良いのか、かなり迷った時期もありました。

 気を遣ってばかりになる恐れもあります。子供もそうですが、保護者の方もうまくストレスを発散しないといけません。

まとめ

 言葉がけは、これを言えば必ずうまくいくというものは、ないと思います。

 一昨日はこの言葉を言ってうまくいったけど、今日はダメだったなんてことは、日常茶飯事です。

 しかし、やはり子供にとって嬉しく感じたり、心が穏やかであり続けることができた言葉かけって、大きいと思うんです。

 その時はあまり感じなくても、嬉しい言葉の蓄積があるのと、責められてばかりの言葉が蓄積するのとでは、大きな差が出てきます。

 前向きになろうと思う言葉がけは、どちらですか?言葉がけをすることにより相手が嬉しいと感じたら、こちらも嬉しいと感じるんです。

 保護者が感情的になるのは、逆効果です。より心の平穏を保つためには、言葉は偉大と私は感じます。

 頭ではわかっていても、言葉がけを失敗してしまったりする場合もあると思います。

 匿名での個別相談を受け付けております。どうすればよかったのか、今度同じような状況になったらどうすべきかなど、一緒に考えていきましょう。